インタビュー
浄土教の教えの本質を理解し、深い人間性を身に付けたい

仏教学研究科 仏教学専攻
2017年3月修了
佐々木 由美子さん Yumiko Sasaki
音楽教師として勤務した後、夫の実家である寺院を承継。本学の人間関係学科人間学専攻(現:人間科学科仏教学専攻)を2010年3月に卒業。仏教学の専門的な研究にアプローチするために人間学研究科仏教学専攻(現:仏教学研究科仏教学専攻)に入学。
入学のきっかけ

私は夫の実家である宮城県の寺院(浄土真宗本願寺派)の住職を務めていますが、最初から僧職に就いていたわけではありません。前住職であった義父の他界によって後継者をどうするかという問題が発生し、いろいろと案じた結果、会社員である夫に代わって私が承継したというわけです。寺院に嫁いだとはいえ、これまで長らく音楽教師として勤務してきた私は、まさか自分が僧侶になるとは全く想像していませんでしたので、仏教に関する学びをまさに一からスタートしなければなりませんでした。
仏教を学問として体系的に学ぶには独学では難しいため、地方在住でも無理なく学修できる方法を考えていたところ、武蔵野大学の通信教育部で仏教学を学べることを知り、2009年に人間関係学部人間関係学科(現:人間科学科仏教学専攻)に3年次編入学を果たしました。初学者の私でしたが、わかりやすい授業・充実したカリキュラムによって仏教や浄土教の基本的な知識や技能、大切な心構えなどを学べたことが確かな基盤となり、その後、無事に得度を受け僧侶になることができました。
承継後は自坊の舵取りに追われながらめまぐるしく過ぎていった歳月でしたが、ようやく落ち着いてきたところで、次のステップとして大学院への進学を考えました。日常の法務や御門徒の方々との関わりを重ねるほどに、仏教の教えをさらに学び、経典を深く読み込んで、自分を高めていく必要性を実感する機会が多くなったことが強い動機でした。仏教学の専門的な研究にアプローチするために再び武蔵野大学のお世話になろうと考え、大学院の通信教育部の扉を叩きました。
実際に学んでみて

武蔵野大学大学院へ進んで一番良かったと思うのは、素晴らしい恩師に再びご指導いただけることです。大学時代にインターネット授業やスクーリングを通して多くの先生方のご指導を仰ぎましたが、中でも京都での「念仏研修」の授業に参加したのをきっかけにご縁ができた先生とは、大学卒業後も交流を続けさせていただきました。東日本大震災の際には、宮城県に住む私にいち早く連絡をくださり、力強い言葉で励ましていただいたことは忘れられません。通信教育といえども決して一方通行ではなく、先生方と温かい心の交流ができることに改めて感動した体験でした。
こうした先生方のご指導のもと、大学院でさらに学びを深めて自分自身を磨き上げたいと考えています。しかし、モチベーションが高まるのとは裏腹に、特に自坊の住職となってからは毎日の忙しさに追われ、なかなか学修が進まないことに気持ちが焦りがちです。修了までに数ヵ年を要するかもしれませんが、自分のペースで学びやすいことも武蔵野大学大学院の通信教育部のメリット。じっくりと腰を落ち着けて、自分が納得いくまで学ぶ姿勢を貫ければと思っています。
私のオススメ科目
学修を進める上でとても助かっているのは、いずれの科目においてもテキストや資料の内容が的確で大変わかりやすいことです。インターネットでの先生の講義と併せてこれらを読み解いていけば、誰もが効率良く学修できるのではないでしょうか。 あらゆる科目が意義深く、自分の世界を広げることに役立っていますが、中でもインド・中国・日本の浄土教思想について歴史学的視点から学ぶ「浄土教理史」は、浄土教の教義・教理を正しく理解する上で大変有意義な授業だと思います。浄土真宗の教義は、ともすると人それぞれで勝手な解釈がされがちで、私にしても門信徒の方々に誤って伝えてしまう恐れがあります。事実、スクーリングに参加し直接先生に教えていただく中で、自分の解釈が誤っていたと気づかされることもたびたびありました。理解があいまいな点をきちんと正していただけることが心強く、大変感謝しています。
また、特定課題研究演習については、まだ構想の段階ですが、極楽という観念について私なりの視点から研究したいと考えています。これから研究テーマや計画について先生との面談やメールを通じて随時ご指導を受けながら、学修していけることが楽しみです。
私の学修方法
日常の法務に加えて法事や葬儀、ひっきりなしの来客など、忙しい日々を送る中で、机の前に落ち着いて座るということがなかなか叶いません。リポート作成などに際しては、家事や雑事をしながらでもできるだけ内容を頭の中で組み立てておいたり、細切れの時間を見つけては図書館で必要な文献や資料を集め、少しずつ溜めておき、予定が入らない日には部屋にこもって一気に書き上げるというスタイルが習慣になっています。
仏教書は特殊で高価な書物が多く気軽に購入することができないため、必然的に図書館に頼ることが多くなりますが、図書館でも目当ての本が所蔵されていなかったり、館外貸し出し禁止の場合も多いので、資料収集は苦労が絶えません。事前の検索など通じて、目的の資料が効率的に入手できるように努めています。
将来に向けて

浄土真宗の教義は難しいので、まず私が正しく解釈し、それを門信徒の方々への法話などに反映させながら、教義の理解を深めていただけるように努力していくつもりです。それが大学院に進学する目的の一つでもありましたし、その姿勢をこれからも崩さないようにしていきたいと考えています。
きちんとした知識が身に付いていないと、法話の内容も曖昧になってしまいます。自信を持って正しいことを伝えることが私の使命だと思っています。まだまだ女性の住職は少ないですし、私自身が寺院の生まれではないので、世間から認められるには人一倍の努力が必要ですが、大学院での学びによって深い人間性と幅広い視野を身に付け、僧侶として信頼を培っていければと考えています。